原発ゼロ

福島以来、原子力発電所の存在について国民的議論になっている。
即時停止派から存続派までまさに百家争鳴だ。
そんななかの一つにエネルギー安全保障問題がある。

ゼロ派も維持派も、再生可能エネルギー(風力や水力、太陽光など)を、今後最大限に推進活用していくことに(実現性はさておき・・たぶん)異論はない。
しかし再生可能エネルギーは、その不安定さ故に発電全体の30%程度が利用できる上限とされている。
問題は安定供給しなければならない残りの70%だ。
本当に化石燃料を基にする火力発電だけでよいのだろうか?

先の大戦で石油を止められたことが、戦争突入へのトリガーの一つとなったという歴史的事実を踏まえれば、輸入に頼る化石エネルギーだけで補うのは安全保障上問題があるといわざるおえない。

もちろんウランも輸入に頼っているので、石油やガスと事情は変わらないとの考えもあるが、一度輸入すれば数年使えるウランと、情勢不安な中東から大型タンカーで膨大な量を輸入し続けねばならない石油・ガス等とは同列に扱えない。

そしてもし世界経済規模3位の日本が「原発ゼロ」宣言などしたならば、すぐに化石燃料価格は高騰し、年間数兆円の国富が流出するだろうし(すでに高騰・流出している)、ほとんどのエネルギーを他国に依存する国の外交は足元を見透かされ力を失うだろう。結果著しく国力は低下し国と国民の前途は危ういものとなる。
 さらに国際的なエネルギー価格の高騰は外貨の乏しい途上国に大きな試練を与え、資源争奪は世界を再び百鬼夜行に導くかもしれない(少々悲観的だけど)。

健康のためだったら死んでもいい」という笑い話があるが、原発ゼロになるなら少々の貧困や危険、困難などある程度の犠牲はしかたがない・・・では本末転倒ではないか。
原発比率の0%や15%、30%を目標とするのではなく、まずは電力の安定供給を目標とし達成するための議論や施策を進めてほしいものだ。   y.ishii

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